世界中の人々に愛される「第九」
「交響曲第九番ニ短調」は、ベートーヴェンが54才の時に作った最後の交響曲で、日本でもっとも親しまれているクラシック音楽の一つです。この曲の第4楽章にはシラーの詩に曲を付けた、4人の独唱と混声合唱による「喜びの歌」があります。
ベートーヴェンの最高傑作とされる「第九」は、世界でもニューイヤーコンサートや特別な祝典などで演奏されます。例えば1964年の東京オリンピックの際、東西ドイツが統一選手団として参加した時は、国家の代わりとして歌われました。また1989年、ベルリンの壁崩壊直後の年末には、東西ドイツとアメリカ、イギリス、フランス、ソ連の混成オーケストラがベルリンに集い、バーンスタイン指揮のもと演奏されたことも有名な話です。
日本では年末に演奏されるクラシックの定番ですが、なぜ、日本では年末に「第九」の演奏会が数多く開催されるのでしょう?
日本で「第九」の年末演奏が始まったのは、1937年。新交響楽団(現在のNHK交響楽団)によるものでした。戦後間もない1940年後半には、オーケストラの収入が少なく、楽団員のお餅代を稼ぐため年末に演奏することが多くなり、いつしかそれが定例となったとされています。
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